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報道機関に取材される側、報道される側の一般市民の権利

報道機関に取材される側、報道される側の、一般市民の権利

 報道の自由は、市民の知る権利に奉仕し、市民が情報を収集し、国政・統治のあり方に対し批判・議論したり、また日々の生活に役立てたりするためにも必要不可欠な権利であり、公権力からの干渉を許してはいけない重要な権利です。
 他方、取材・報道の対象が一般市民に向けられ、個人の名誉・プライバシーを侵害する方向に向けられたときは、市民にはこれに対抗する有効な手段を持たないのが現状です。
 報道の自由は、重要な権利ではありますが、一般市民の平穏な生活やプライバシー・名誉を侵害する権利は持ちません。
 一介の市民が、巨大なマスコミには太刀打ちできず泣き寝入りを余儀なくされている現状を打開し、行き過ぎた取材・報道に対し、適切なマスコミの使命を果たし、市民にとって有用なマスコミに正していくために、取材される側、報道される側がマスコミに要求しうる手段、働きかける方法などを記します。

1 取材される側の権利
 ⑴ 取材に応じる応じないは貴方の自由です。
 誰しも、自己の情報を自己がコントロールする権利を有しています。このことから当然に、取材に応じる義務はありません。取材に応じる場合でも、取材する会社・個人を選んでもかまいません。代表取材や記者会見のみに応じるとか、特定の記者のみの取材に応じることも自由です。こちらから情報を発信したい場合は、記者クラブを活用することも考えられます。

 ⑵ 集団的過熱取材に対して
 誰しも、私生活の平穏を害されない権利を有しています。大きな事件では、多くの取材陣がおしかけ、取材対象者は、葬儀もままならない、何度も同じことを聞かれる等々の多大な迷惑を被り、近隣にも大きな迷惑をかけることがあります。これらの取材を排除する権利を当然に有しています。
マスコミも集団的過熱取材に対しては、問題意識をもち各都道府県に地元協議機関を設置しています。最寄の新聞社等に連絡すれば対応してくれます。

 ⑶ 違法取材を拒否する権利
 誰しも、その承諾なしに、住居に立ち入っての取材、容姿容貌を撮影されない権利を有します。承諾なしの取材に対してはその中止を求め、撮影の場合は当該映像の消去を求めることもできます。
  
2 報道される側の権利
⑴ 不当な報道に対しては、損害賠償や謝罪広告(反論文掲載)を求めて裁判を起こすことが考えられます。しかし、一介の市民にとって、裁判の負担は大きく、賠償額も低額であることが多く(近時徐々に高額の賠償が認められてはきていますが)、ここでは裁判によらない名誉回復方法を列挙します。

⑵ 報道の訂正を求めることも可能です
テレビ・ラジオの場合には、誤った報道に対して訂正放送請求が可能です(放送法4条)。但し、放送後3ヶ月以内に請求をしなければなりません。放送が真実でないと判明したときは2日以内に訂正放送をしなければならないとされていますので、早期の訂正が期待でき、無償である点が利点です。
 
 新聞・雑誌等の活字メディアには、このような制度はありませんので、個別に交渉して訂正や謝罪を求める他ありません。ただし、平成12年ころから新聞各社が、社外の有識者による紙面審査・苦情対応の機関を設置する動きがあり、当該報道機関にそのような機関があるかどうか問い合わせるのも一法です。

 ⑶ 反論文掲載請求
 法は、名誉毀損がある場合、裁判所は「名誉を回復するに適当なる処分を命じることができる」と規定しています。その趣旨を生かして報道された側が、裁判によらないで、報道機関に反論を掲載するよう要求する権利を反論権といいます。フランスやドイツでは法律で認められています。
 
 マスコミも強制的に反論掲載を求められると、マスコミが有する「編集権侵害だ」となって応じにくくなりますが、マスコミは本来知る権利に奉仕する使命を有しており、多種多様な意見が報道に反映されることはマスコミの本来の使命に合致することです。報道された側が反論を求めるというのも交渉における一方法です。
 
 ⑷ 報道の差止め
 誰しも、自己の情報を自己がコントロールする権利を有していることから、自己の承諾なしに、氏名・住所・職業・顔写真等自己のプライバシーに属する報道をされない権利を有します。また他者に誤認を生じるような報道をされない権利を有します。誤った報道が、なされると事後的に損害を回復することは極めて困難です。
 他方、報道の自由も重要な権利であり、公共の利害に関する事項の報道の場合には、差止めが認められると、市民はその情報に接することができず、知る権利を侵害される場合がありえます。
 そこで、報道される側の権利と知る権利を調整して、報道する側の違法性が高く、報道により回復不可能な損害が生じることが明らかな場合には、当該報道を差止めることを裁判所に求めることもできます。

 ⑸ 苦情対応機関
 テレビやラジオによる報道被害については、NHKと民放が共同して自主的な救済機関としてBPO(報道倫理・番組向上機構)を設置し、放送による報道被害の苦情を受け付けています。電話・ファックス・手紙等苦情申立の方法は問いません。

BPO  〒101-0062 東京都千代田区紀尾井町1-1
TEL 03-5212-7333  FAX 03-5212-7330 http://www.bpo.gr.jp
 
 新聞には、このような機関はありません。新聞各社が社内に苦情対応機関を設けています。また、社外の有識者による苦情対応・紙面審査機関を設けている新聞社もありますが、その機関の役割は新聞各社によって様々ですので、報道被害を受けた場合にはその社に問い合わせていただくと分かると思います(ちなみに『マスコミ倫理』2001年8月号によれば全国で20社程度の新聞社にそのような機関が設置されているとのことです)。
 
 週刊誌等の雑誌の場合には、日本雑誌協会内に苦情受付窓口として「雑誌人権ボックス」が設置され、ここに苦情を訴えれば出版元に苦情を取り次いでくれます。但し、苦情申立は、郵送かファックスに限られています。

〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台1-7
日本雑誌協会 雑誌人権ボックス宛  FAX 03-3291-1220
 

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